UJIEN STAND 表参道店|フラッペ開発メモ
絶対に美味しいフラッペの設計図
完成度の高いフラッペは、センスではなく「5つの変数の設計」で出来ています。スタバのフラペチーノの構造を分解した結果を、そのまま試作に使える形でまとめました。
結論:完成度の8割は「ベース」で決まる
スタバのフラペチーノには、カスタムでも絶対に抜けない「フラペチーノベース」というシロップが必ず入っています。正体は「糖+増粘安定剤」。単なる甘味ではなく、
- 分離を防ぐ(時間が経つと下に水がたまる現象)
- ざらつきを防ぐ(氷の再結晶を抑えて、なめらかさが持続する)
というテクスチャーの心臓部です。試作で「分離する」「ガリガリする」なら、原因はほぼここです。
自家製フラッペベースの試作起点:グラニュー糖:水=2:1のシロップに、キサンタンガム(食品用増粘多糖類)を全体量の0.15%前後加えてバッチで仕込み、冷蔵保存。まずこれを入れた一杯と入れない一杯を飲み比べてください。違いは一発で分かります。
味と食感を決める5つの変数
| # | 変数 | 設計の考え方 |
| 1 |
糖度 |
砂糖は「凍結点を下げるテクスチャー材」。少ないとかき氷のようにガリガリ、多いとシャバシャバ。仕上がりの糖度はBrix 20前後がなめらかゾーン。甘さを下げたい場合は砂糖を減らすのではなく設計ごと調整する。 |
| 2 |
ベース |
上記の自家製フラッペベース。分離・ざらつき対策の最大レバー。 |
| 3 |
氷:液体比 |
重量比で 氷2:液体1 を起点に調整。毎回グラム計量すること。目分量は再現性の最大の敵。 |
| 4 |
撹拌 |
ハイパワーで20〜30秒・短時間。回しすぎると氷が溶けて水っぽくなる。導入予定のブレンダー(Blendtec STEALTH885)はプリセット登録ができるので、レシピ確定後にワンタッチ化して個人差をゼロにする。 |
| 5 |
材料温度 |
ミルクもベースも冷蔵からの投入。常温投入は氷を余計に溶かし、比率が崩れる。 |
抹茶フラッペ特有のコツ
- 抹茶は70℃前後の湯で先に溶く。熱湯は香りが飛び、水はダマになる。
- または砂糖と抹茶を粉のまま先に混ぜてから液体へ。ダマが根絶できる(製菓の定石)。
- 乳脂肪は抹茶の旨味を運ぶキャリア。成分無調整以上のミルクを推奨。
- ブレンド後は氷で薄まる前提。抹茶液単体で「濃い」と感じる濃度を基準にする。
ベンチマーク:八十八良葉舎(8108kyoto)に学ぶ
京都発の日本茶スタンド(2019年創業・株式会社room/代表は元バリスタ10年の丸山順裕氏)。目の前で一杯ずつ点てるライブスタイルと「ラテでも高級抹茶」の哲学で、いま浅草・渋谷・鎌倉まで拡大している注目株です。
看板の「八十八シェイク」(¥900〜)の構造がフラッペ開発の参考になります:
- 氷ではなく「自家製抹茶アイス」がベース ── アイスは乳脂肪・糖度・空気が最初から設計済みなので、分離せず・濃厚で・誰が作っても同じになる。氷ベースのフラッペで完成度が出ない場合の有力なプランB。
- 甘味は黒糖 ── 上白糖やガムシロではなく「自然な甘さ×抹茶との相性」で甘味材まで設計している。
- 薄まる前提で上級茶葉 ── 冷たいドリンクこそ茶葉のグレードが効く、という考え方。
- 泡抹茶トッピング(+¥350) ── 完成ドリンクの上に点てたての抹茶を目の前で乗せる。「フラッペ×ライブ点て」の接続例。
試作の進め方(独学 → 設計へ)
- レシピを全てグラム表記にする(cc・目分量・「適量」禁止)。
- フラッペベースを仕込み、あり/なしを飲み比べる。
- 変数を1つずつ動かす官能テスト:氷量±20g/ベース量±10g/撹拌±10秒の3軸マトリクス。1日9杯で総当たりできる。
- ベストの一杯が決まったら、STEALTH885のプリセットサイクルに登録。誰が作っても同じ一杯に。
- 提供SOP:完成後30秒以内に提供。フラッペの賞味ピークは短い。
注意:一度に2つ以上の変数を動かさないこと。「何が効いたか」が分からなくなり、独学の迷路に戻ります。テスト結果は毎回メモ(配合グラム・撹拌秒数・感想)を残してください。